アヴィニヨン(Avignon)へのTGVの旅 – イタリア・フランスの旅(9)

TGVの連結作業

今日は、9:41ニース発のTGVでアヴィニヨンに向かいます。いつもながら不安なので、ちょっと早めに9:00ごろ駅に向かいました。

今日乗るTGVは、パリのリヨン駅行きで、ニースで増結されます。われわれの乗る車両は、その増結される車両です。

ニース駅で連結口を開いて待つTGV

イタリア方面から着いたTGVが、連結口をあけて待っているのに、なかなか増結車両が到着しません。発車時間をちょっとすぎたころ、フランス語のアナウンスに続いて、英語で10分程度遅れるというアナウンスがありました。

フランスでは駅でも車内でも、ほとんど英語のアナウンスがありません(というか、アナウンスそのものが少ない)。でも、遅延とかの場合は英語でアナウンスするんですね。英語がしゃべれる人がいるなら、いつも英語のアナウンスもすればいいように思いますが(ニースはやはり外国の観光客の方も多い)、ちゃんと伝えなければならない場合だけしか英語でアナウンスしないというところに、なんとなくフランスらしさを感じました。

ちなみに、イタリア、フランスを旅してみて、英語をしゃべれる方の比率の高さには驚くばかりです。駅やホテルはもとより、レストラン、カフェ、お店、道行く人もみんなわれわれが話しかける程度の内容なら英語で受け応えしてくれます。この旅行で唯一英語が通じなかったのは、モナコの駐車場のインフォメーションのおじさんだけでした。

でも英語のアナウンスはないし、英語の案内も少ない。逆に、フランスに来る人は結構な比率でフランス語ができるのかも知れませんね。似たような単語も多いですので、なんとかなってしまうのかも。たとえば、目的地は英語で「デスティネーション」と聞こえますが、フランス語では「デスティネシヨン」と聞こえます。おかけで、フランス語のアナウンスでもリヨン行きのTGVというのは、すぐにわかりました。でも、駅は「ステーション」ではないんですよね。「ガレ」といった感じで、これはモナコの駐車場のおじさんと手振り身振りでモナコ駅の場所を聞いたときに教えてもらった単語です。おかげさまで、リヨン駅(ガレ リヨン)がわかったというわけです。

話が脱線しました。

遅れていた増結車両がようやく到着し、待っていたTGVと連結されます。おたべは、走っていって、連結作業を見守ります。ちびぶーは「監督に行かなくても大丈夫」といいますが、これはやはりチェックしなければなりません。

無事TGVが連結されました

連結作業は滞りなく終わり、走って戻って、荷物を積み込み、席に着くとまもなく発車しました。席は、2階席、1等車です。

ちょっと心配になるくらいすいています。TGVの座席は1等車でも転換できないシートで、車両の真ん中を向いて半分ずつ座席が向かい合うような配置になっています。われわれの席は、進行方向後ろ向きのシートで、ちょっと車窓を楽しみづらい位置です。

TGVのファーストクラス。真ん中が向かい合わせ。広いテーブルがいいですね

すいているのをいいことに、真ん中の席が向かい合ったボックス席の部分移って、車窓を堪能することにしました。

朝から、スーツケースを運んだり。連結作業の監督などで走り回って、ちょっとのどが渇いてきました。TGVには、食堂車はないのですが、ビュフェがあります。今は、新幹線にはなくなってしまいましたが、売店とちょっとした飲食スペースがある車両です。そこを見学しがてら、ビールを買ってきて、のどを潤しました。

さて、TGVというと300kmの超特急というイメージですが、それはTGV専用区間でのはなし。アヴィニヨンのちょっと手前までの区間は、TGV専用の線路ではなくて通常の鉄道の線路を走るので、そんなにスピードはでません。日本の特急電車くらいのスピードでのんびりと走ります。ニース-アヴィニヨン間は、アヴィニヨン-パリ間の半分くらいの距離ですが、同じくらい時間がかかって、ようやくアヴィニヨンに着きました。

タクシーの不安な行く手

アヴィニヨンTGV駅構内

着いたのは正確に言うと、「アヴィニヨンTGV」という駅で、本来のアヴィニヨン駅ではありません。TGV専用区間に作られた新しい駅で、ちょうど新横浜のような感じといったらいいでしょうか。

駅のイメージを大きく変えるかっこいい駅です。こういうところを見ると、日本の駅のデザインはまだまだだなぁと思います。

できてあまり時間がたっていないからでしょうか、駅の周りには何もありません。タクシーがいるか、ちょっと心配でしたが、案内版をたよりにタクシー乗り場にいくと、ちゃんと数台のタクシーが客待ちしていました。

オーベルジュの予約書をみせて、場所がわかるか聞くと、大丈夫とのこと。ところが、走り出してしばらくすると、運転手さんが、「英語が話せない、ごめんね」なんていいます。とたんにちゃんと場所がわかっているのか不安になったのですが、考えてみれば「英語がわからない」って英語で言っているですから、まあ大丈夫なのでしょう。

それでも、だんだん建物がなくなって田園風景の中を行くようになってくると、また不安になってきます。そこで思いだしたのが、レンタカーで使うために用意してあった、iPhone用のナビゲーションソフトです。日本で、ヨーロッパ全域のものを用意しておいたのですが、ミラノで誤って消してしまい、改めてフランスのものをダウンロードしておいたのです。

オーベルジュを検索してみると、一発で出ました。ナビゲーションを開始してみると、どうやらタクシーは、ナビゲーションが示すとおりに進んでいきます。途中、一過し違う道に入ったのですが、マップを引いてみてみると、より近い細い道に入って、ショートカットしているようでした。

有名なゴルド(Gordes)がタクシーから見えました

途中、運転手さんが「ゴルド」というので、見てみると、有名なゴルド(Gordes)の村が山の上に見えます。レンタカーだったら、あすこにもちょっと足を伸ばしたりできたのですが、う~ん、残念。まあ、エズ(Eze)に行ったからいいか。

Le Mas Des Herbes Blanchesのエントランス

そうこうしているうちに、無事オーベルジュ「Le Mas Des Herbes Blanches」に到着。結果的には、ノートラブルで宿に着きました。ナビも、到着を告げています。

それにしても、iPhoneのナビゲーションソフトは、いいですね。十分に実用になります。値段もフランスだけなら、4900円。ヨーロッパ全域でも10000円でした。ナビが使えるとわかって、ますますレンタカーで旅ができなかったことが残念に思えてきました。もっとも、それだとTGVにこんなに乗れませんでしたし、普通電車はまったく乗らなかったでしょう。

と、慰めつつ、ホテルへ向かいます。スーツケースは運転手さんがフロントまで運んでくれました。ありがとうございます。

ちびぶー、まもや手に怪我

ここは、オーベルジュなので、当然ディナー付きで予約しています。ハーフボード(half-board、夕食、朝食付き)で、2人で356ユーロ。日本の中レベルの旅館程度の値段ですが、今回の旅では最高の宿泊費です。ディナーに期待が高まりますが、まだちょっと時間があります。ウェルカムドリンクとクッキーをいただいた後、ホテルの中を探検し、それでもまだ明るいので、レセプションの人の勧めで、ホテルの周りを散歩することにしました。

Le Mas Des Herbes Blanchesの周り

とても静かで、人の気配もほとんどないプロバンスの秋は、とてもいいです。

Le Mas Des Herbes Blanchesからの風景

天気もよくて、遠くの山までくっきりと見えます。景色をながめながら、のんびり歩いていると、時ならぬ悲鳴が。横を見るとちびぶーが見事に転んでいます。転んだ際に左手でかばったのはいいのですが、その手は旅行前に牡蠣剥きをしていて、ナイフが貫通した方の手です。幸い、傷に直接あたらなかったようですが、その脇をすりむいて、またひとつ絆創膏が増えてしまいました。

ディナーはゆったりと

ディナーは、19:30からお願いしました。20:00からという方が多いようで、われわれが一番乗りです。

まずは、ショットのシャンパンで乾杯して、オードブル。20組は入れる部屋に、われわれだけでのんびりとディナーを楽しみます。やっぱり東京はもとより、ミラノやニースとは時間の流れるスピードが違う感じです。でも、ウェイターさんやソムリエさんは、きびきびと動いていてて、そこもまた気持ちがいいです。

20:00をすぎると数組の方がやってこられて、さらに、ここは、レストランとしても営業しているので、宿泊者以外の方もいらしているようです。でも、まだまだすいているという感じです。

料理は重厚というよりは軽やかな感じでとてもおいしく、見た目も繊細でとてもきれいです。量がそれほど多くないこともあって、ふたりともきれいにたいらげていきます。それでも、魚、メインと進んで、チーズを迎えるころには、すっかりおなかいっぱい。チーズをいろいろ取ってもらったのですが、一口ずつ味見するのが精一杯でした。それでも、デザートは入るから不思議です。

最後にシェフの方がご挨拶にいらっしゃいました。東洋系の方です。お聞きしてみると、ご両親が台湾からこられたとのことで、こういうと失礼ですが、とても今日のような繊細な料理を作られるようには見えない、ちょっとこわもてな方でした。

すっかり満腹で満足し、ワインのよいも手伝って、この日はそうそうにぐっすりと休みました。